私たちが大切にすること Purpose vision

株式会社エスパシオ 代表取締役下田直人様× CFP Group CEO 福田奈美絵

何のために働くか──企業の存在価値Purpose

──社会保険労務士として多くの著書を持ち、就業規則等企業のルール作りに携わってきた下田直人氏は
  CFP Groupのパーパスの策定にも携わっています。企業のパーパスとはどのようなものか。
  CFPのパーパスである「ステークホルダーと共にカーボンニュートラルな明日をつくる」ができるまでの
  エピソードとともに伺いました。


下田直人さん(以下、下田)

企業には多くの人と人とが集まる場なので、就業規則をはじめ秩序となるルールは必要です。しかし、長年社労士として仕事をする中で、それだけで経営者や従業員を含め働く人みんなが幸せになれるのか、という疑問がありました。私はコーチングやファシリテーションなど心理学の手法を用い、取引先企業のサポートを行っています。
パーパスとは「この会社は何のために存在するのか。何のために働くのか」といった存在目的や存在意義のことです。それを明らかにしていくことによって、働く人が働く意味や企業の価値を見出すことができます。

福田奈美絵(以下、福田)

2003年の創業から2年ほど経ったころでしょうか。スタッフも少しずつ増えて業務拡大する中で就業規則を改めて見直したいと考えました。当時、関連本を10冊以上は読みましたが、その頃主流だったのは、いかにして賃金を
安く抑え、会社に損を出さないですむかといった目線で書かれたものばかり。そんなときに出会ったのが
『なぜ、就業規則を変えると会社が儲かるのか?』など、下田先生のご著書でした。「社員と共に、会社がある」という前提のもとに書かれていて、私の目指す会社経営に非常に近いもので驚きました。「もう絶対、この方にわが社の就業規則を相談したい!」と思ってすぐさま連絡したんです。以来、社労士の立場からアドバイスをいただいていましたが、今回、会社のパーパスを作るなら相談する相手は先生を置いて他にいないと思いました。

プラスチックにまつわるものでお客様の課題を解決する

──下田先生は、1年以上の時間をかけて一緒に伴走するような形でCFPのパーパス策定をアドバイスされたそう
  ですね。

下田

福田社長も含め十数人のプロジェクトチームを組んでいただいて、月1、2回のミーティングを重ねました。
「なぜ会社があるのか。何を目指すのか」考え、メンバーから出てきた言葉や思いを掬い上げ、ディスカッションする。そんなことを1年ほどかけてやってきたのです。

福田

プロジェクトのメンバーから出た言葉の中でもっとも多かったのが、「ステークホルダー」でした。実際は取引先、仲間、同僚、と人により想定する相手や呼び方は様々だったので、総称としてこの言葉を使っています。

結局は、周りの人がいないと自分たちは存在できないということが多くのスタッフの共通認識でした。弊社の仕事は元々、商社としての役割が大半だったのですがそれだけでは解決できないこともたくさん出てきまして。実は自社工場を持つことは想像してはなかったんです。当初、倉庫は物流会社に借り、加工も外部の委託先に出していました。それでも内製でないとできないほどの依頼が入ったときに、それを断るのか、もしくは、これはもう自社でやるかどちらかの選択しかないんですよね。そこで私は後者を選んだわけです。

いつの時代もチャレンジし続ける企業

──下田先生から見てCFPはどのような企業ですか?

下田

今、福田さんが仰ったように、顧客をはじめステークホルダーからの求めに対して、「うちではできない」と断ってしまうのは簡単ですが、どうしたらそれに応えられるのか。その道筋を諦めないで考え、チャレンジをし続ける会社だと感じます。

──パーパスはどういったときに必要になるのでしょうか。

下田

ここ数年の潮流として、「会社の存在意義や目的を明確にすることが大切」だと考える企業は増えていると思うんですよね。一般によく言われるのは、流れの速い時代の中で何が必要であるか見出したいということ。
社員それぞれに思いはあるでしょうが、正解が一つではない時代の中で組織として一本の軸は必要です。
その上で、世の中ではどのようなことが求められていて、何のために我々が存在しているか考えることが仕事を続ける上で重要であると多くの人が気づき始めていると思うんですね。それからもう一つ、目指す理想があることによって働く人のやりがいにつながってくると思う。お金を得るため、生活のために働くというのが必然であるとしても、会社は一日の大半、人生の長い時間を過ごす場所です。何のためにこの仕事しているか明確であれば、その人の人生が充実してくるし、プラスの気持ちでいることで新たな発想がわいてくる。そういう好循環も生まれると思うのです。

軸があるからこそぶれない決断ができる

──パーパスを作って良かったと感じたエピソードはありますか。

福田

先ほどお話したように、ご依頼をいただいたことに対しては出来る限り対応していこうというのが私たちのスタンスなのですが、実はちょっとだけ迷子になった時期があったんです。何のために今この仕事をするのか、何よりお客様のためと考えていたのですが迷いが生じたことがありました。今、新しい工場の建設を始めているのですが、これは私にとっても、勇気のいる大きな一歩だったんですよね。本当にやるのか。やらないという選択はなかったのですが、いざ前に進むには何かが欠けていました。私だけではなくスタッフも少し不安を感じていたようです。会社が成長する中で人員も増えて、業務内容にも変化がある時期でしたし……。

そんな状況の中、下田先生にパーパスを作りたいとお願いをして、1年間取り組んで、「ステークホルダーと共にカーボンニュートラルな明日をつくる」というパーパスに決定しました。工場用地が見つかって、すぐ買うという判断ができたのも、おそらく、パーパスを決めていたことが大きかった気がします。そうでなかったら購入をためらっていたかもしれません。パーパスを考える中で、メンバーの率直な思いも分かってきた部分が大きいし、私自身の仕事に対する方向性も定まっていたからこそ、この決断ができたと思います。

パーパスを明確にしたからこそできたこと

──パーパスがあるとそういった意思決定のプロセスも変わってくるのでしょうか?

下田

決断ができるようになるというか、おそらく軸ができるということなのだと思います。
だから、決めなくてはいけない場面で必要以上に迷わなくなるのではないでしょうか。

福田

我が社の場合は明らかにそうですね、この仕事をやる意味があるかどうか、たとえ迷っても、私をはじめスタッフも今はおそらく、パーパスに立ち返って考えられると思います。そこで違和感があれば、やめようという判断もあるかもしれない。

──自社が事業拡大する中で、会社の方向性を言語化したいという思いがあったといいます。

福田

そうですね。私ひとりでは何もできないのですが、スタッフはそれぞれに秀でたものや専門知識を持っています。社員をはじめ取引先や関連企業、多くの人との関わりの中で仕事をしているわけでどこが欠けても会社は成り立たないというのが我々の共通認識だったんですよね。そこが再認識できたと思っています。

下田

「カーボンニュートラルな明日をつくる」という言葉をこのパーパスに入れるかどうか、というのは実は結構大きい話であって、入れるからにはそういう意識で仕事をしていかなくちゃいけない。ちょっと襟を正すというか、この言葉を選んだことは結構大きなポイントだったと思います。メンバーの中からその言葉が出てきたそのときが、まさにチームが一つにまとまった瞬間だと思うんですよ。紆余曲折していて、本当に決まるのかな、という空気感もあったと思う。その時でもあの言葉が出てきたとき、これだ、と空気感が変わりましたね。

福田

実は、本当にその言葉を入れるの?と最後まで言っていたのは私だったんです。先生の仰る通り、決めたら最後自分たちの行動もそちらに向かわなければいけないという責任もありますし。今となってはこれに決まってすごく良かったと思うんですが。それこそ軸ができた瞬間かも知れないです。

下田

別の見方をすれば、あれが福田さんの覚悟が決まった瞬間ともいえるかもしれない。

CORE VALUE
福田

確かに今の新しい工場を始めるにあたっては、パーパスというものが私たちの背中を力強く押してくれました。

下田

パーパスを作れば、今までの会社の流れとは違うまったく新しいものができるというわけでもないと思います。多分今まであったものにぴったりな言葉が見つかったという感じではないかなと。元から言語になってないけどそういう価値観とか大切にしていたことのある会社だと思うんですよね。

福田

ただやっぱり何のために働くのかということが定まらなかった部分はあったと思うんですよ。今は、ステークホルダーとともに、カーボンニュートラルな明日をつくるためだとが言えるけど、前はそこに応える明確な言葉というものがなかったんですよね。

さらなる可能性を目指して挑戦していく

──今後はパーパスを軸に、さらなる発展に向けて業務を拡大していくようですね。

福田

私たちの挑戦は、プラスチック再生だけにとどまらないかもしれないです。パーパスに合致することであれば、スタッフとともに新たな挑戦を続けていきたいです。CFPの社名はChallenge to the Future Possibilityの頭文字を取ったものですが、「可能性に挑戦していく」という思いを込めているので、初心を忘れずにやっていきたいと考えています。